心臓(アンモニア)PET検査のご案内

心臓(アンモニア)PET検査

 13N-アンモニアPET心筋血流検査とは、「13N-アンモニア」と呼ばれる放射性医薬品を使用して、心筋の血流状態を診るPET検査です。13N-アンモニアは がんの検査で使用する「FDG」とは異なります。薬剤の半減期は約10分です。
 国内における心筋血流検査はSPECT検査が一般的に行われていますが、当クリニックでは、より鮮明な画像が得られるPET検査で行っています。本検査は2012年4月から保険適応検査となりました。
 検査の所要時間は準備も含め約2時間。検査前には、絶食やカフェインの中止などの準備が必要です。撮影は安静状態と薬物負荷状態の2回の撮像を行い、それぞれ30分ほどPET装置台上に両上腕を上げた状態で寝ていただきます。 当院での薬物負荷は主に「ATP」を使用します。喘息で治療中の患者様などでは使用できませんので、予約時に確認させていただきます。ATPが使用できない場合は「ドブタミン」を使用する場合もあります。
 検査終了後はすぐに、日常生活に戻ることができます。検査の費用は3割負担で約3万円です。

検査の注意事項(アンモニア) 検査の流れ(アンモニア)

医師紹介

大島 覚

名古屋共立病院 副院長br> 循環器・ASOセンター センター長
循環器内科部長

名古屋放射線診断財団
名古屋放射線診断クリニック
心臓核医学センター長(兼任)

大島 覚

1994年 徳島大学医学部卒業
2013年 名古屋放射線診断クリニック 心臓核医学センター長
2018年 名古屋共立病院 循環器・ASOセンター センター長
2020年 名古屋共立病院 副院長

所属学会
日本内科学会総合内科専門医/日本循環器学会循環器専門医/日本核医学会核医学専門医

放射線の影響は?

放射線を出すお薬を使用しますが、ごく微量であり心配ありません。検査の際に受ける放射線の量は、胃や骨のX線検査とほぼ同じです。
また、体内の放射線は短時間(約10分で半分の量に)のうちに少なくなり、無くなります。

放射線の影響は?

引用:日本メジフィジックス株式会社

心筋血流(アンモニア)PETの保険適応

核医学診断料
ポジトロン断層撮影

13N標識アンモニア剤を用いた場合(一連の検査につき) 9,000点

13N標識アンモニア剤を用いたポジトロン断層撮影については、他の検査で判別のつかない虚血性心疾患の診断を目的として行った場合に算定する。負荷に用いる薬剤料は所定点数に含まれ、別に算定できない。

どんな写真?

下の図のような写真(画像)ができます。

写真イメージ

検査プロトコール(検査の流れ)

下の図は、当院の検査プロトコールを示します。
CTを撮像後、アンモニア投与と同時にPET撮像を開始。安静検査、負荷検査それぞれで、15分程かけて行います。負荷検査時にはATPを利用して負荷を行います。喘息などATPの利用が禁忌な例がありますので、その際はドブタミンを使用することもあります。負荷検査に関して、検査の注意事項をご確認ください。負荷検査時は専門医が立ち会います。これまでに、負荷剤によって重篤な症状に至った例はありません。

放射線の影響は?

心筋血流量

当院では全ての臨床検査で心筋血流量(MBF)を測定し、読影に役立てております。アンモニア検査における撮像は、トレーサーの投与と同時にPET撮像を開始して、数分間のダイナミックデータを得ます。時間毎に得られる画像より、トレーサーの集積を経時的に観察し、MBFを測定いたします。そして安静時と負荷時のMBFの比から、冠血流予備能(CFR)を算出します。

流解析software QPET-kinetic (Cedars-Sinai®) 結果画面

写真イメージ

PET検査では局所の心筋血流量の評価が可能です。アイソトープ投与直後から継時的に心筋局所の放射線量を測定することによって上の図のように各領域の心筋血流量の測定することができます。また安静時と薬物負荷時の心筋血流量の比から冠血流予備能の評価が求められます。

心臓(アンモニア)PET検査画像症例

写真イメージ

当院の取り組み

安静、負荷検査の連続スキャン

 当初は、先に行う安静時に投与したトレーサーが負荷検査へ影響することを避けるため、安静時と負荷時の検査間隔は50分以上(半減期10分の5倍)空けて行っておりました。
 現在は設備を整え、安静と負荷を続けて撮像することが可能となりました。これにより検査時間が短くなり、少しでも患者様にやさしい検査となるよう努めております。

検査実績

検査実績: 心筋血流アンモニアPET検査数の変化

検査実績: 心筋血流アンモニアPET検査実施数

2023年1月現在